魔女の家




悪夢の様な歓迎会の翌日、更に悪夢のような出来事が待っていた。

「いつもすみませんね、波生先生」

潰れた人達から会費を貰って回った。

「いいえ、大丈夫でした?」

と笑って答えるのは本当にいつもの事。

飲むなら自分の限界くらい知っておきなさいよ、全く。

「おかげ様で、無事に家に帰れましたよ。でも、大変じゃありませんでしたか?我々、みんなをタクシーに乗せるのは?」

それは・・・と私が答えようとしたのを邪魔する奴が居た。

「僕も手伝わせて頂きましたから。大丈夫でしたよ」

人の会話に割り込んで来るんじゃないわよ。

「ああ、そう言えば、峯下くんは飲んでいなかったからな・・・もしかして、波生先生、お持ち帰りされちゃいましたか?」

まったく、下世話な事しか考えないんだから。

馬鹿な事を言うんじゃないわよ!

「判りますか?実は首尾よく行きまして」

こ、こいつ・・・何て事を!

「ち、違いますよ、そんな事、ある訳ないじゃないですか」

私が必死で否定していると言うのに、調子に乗ったコイツときたら

「酷いな、静香さん。昨夜はあんなに・・・って」

私はヤツの口を足を踏み潰す事で止めた。

「ホホ・・・いやだわ、峯下先生ったら冗談がお好きですのね」

そう取り繕ったのに

「え?ホントに?峯下くん、波生先生と?」

何故、私の言葉を信じずにヤツの言葉を信じる?

「そうなんです」

ヤツは調子に乗って私の肩を抱いたりするし。

これじゃ、益々噂が広まってしまうじゃないの。

「違います!」

私は肩に回されたヤツの手を抓って放そうとしたが

「痛いですよ、静香さん。そんなに恥ずかしがらなくても良いじゃないですか」

図々しくそんな言葉を大きな声で言うな!

「僕は心配なんですよ。静香さんは可愛いから他の男が言い寄らないか。何しろ、僕が小児科で研修しているのは僅かな間ですし。ですから、少しでも公にしておかないと」

何なの、その臭い芝居は?

「僕と一緒に父の病院で働いてくれるって約束してくれましたよね?」

嘘八百を並べ立てるな!

「へ〜そ〜なのかぁ〜やるねぇ、峯下くん。難攻不落の魔女を落とすとは」

「ち、ちが・・・」

「はい、お陰さまで」

誰のお陰でもないし、事実無根よ!

私は誤解をしたまま立ち去った同僚を成す術も無く見送ってから、冷静になろうと深呼吸をした。

「峯下先生」

「はい、何でしょう静香さん」

ヤツはとても嬉しそうな笑顔を私に向ける。

そう、そんなに私を貶めて楽しいの。

「私、いつそんなお約束をしたのか、全く記憶にございませんが」

ヤツの父親の病院で一緒に働く?

冗談も大概にして欲しいものだわ。

「ああ、すみません。つい僕の願望が口から出てしまいました」

爽やかに笑うヤツの芝居は続いているらしい。

「あなたは優秀な小児科医ですし、僕は外科を専門にする予定ですし、父は内科医ですから、家族で病院をやって行くには申し分ないかと思いまして」

家族?

誰が?

「是非、僕と結婚を前提としたお付き合いをして頂きたいと」

はっ、結婚?

「まあ、素敵な笑えない冗談だわ」

ふざけるのもいい加減にして欲しいわ。

「僕は本気ですよ」

本気だとしたら尚更性質が悪いわ。

「お断りです」

結婚など言うまでも無く、付き合いだってご免だわ。

私は昨日のアレで全て終わりのつもりなんですから。

「気長に口説かせて頂きますよ。僕は諦めが悪いんです。あの母の息子ですからね」

それはよく知ってるわ。

あの女の諦めの悪さはね。

でもね、人の噂も75日よ。

無視すればいいだけの事。

ヤツは小児科には1ヶ月しか居ないんだし、この病院にだって来年までなんだから。





しかし、ヤツは意外としぶとかった。

休憩時間には傍で纏わり付き、無視をしようとしても仕事についての質問まで無視するわけにはいかない。

周りも何だかヤツに好意的だし。

「羨ましいですねぇ、波生先生。峯下先生は年下でも有望株じゃありませんか」

看護師にまでヤツのシンパが居るとは。

それは確かに判らないでもないけれど。

若くて背が高くて、顔も悪くないヤツが看護師達の人気者だと言う事は。

でも!

私はあんなヤツはタイプじゃないのよ!

「ご実家の病院は大きいらしいですよ。仙台だそうですが」

そうですか、私には関係ない事です。

第一、仙台?

私には東京に立派な家があるんですから。

そんな所に行く予定もつもりもありません。





そんな折、ヤツの言っていた裁判の結果、私達兄弟にヤツの母親が今まで受け取っていた養育費と遺産が返却されるとの知らせを弁護士から受け取った。

兄も弟も「そんなものいらない」と受け取りを拒否したし、私もご同様に断った。

すると、自宅で休日をのんびりと過ごしていた私のもとへヤツが尋ねて来た。

「何のご用?」

「どうして受け取って頂けないのかと思いまして」

ああ、お金の事ね。

「私達、お金に困っている訳ではございませんもの。今更、必要ないものですわ」

正直な話、あの女は父からお金を引き出す為だけにヤツを認知させたのだとばかり思っていたから、認知を取り消してお金を返してきた事には驚いたけれど。

聞けば、ヤツの母親の実家はそれなりに裕福だったらしく、父からのお金に頼る必要は全くなかったらしい。

だから父の妻の座に固執したのかしら?

「この家を見るとそうとも言えない様な気がしますが・・・3年前とは随分変わりましたね」

ヤツの言葉にムッとする。

確かに、私一人だけが住んでいるこの家は、以前とは手入れの仕方が全然違う。

使用人の数は通いの数人に減らしたし、使っている部屋も少ないから掃除が行き届いているとも言えない上に、広い庭は荒れ放題だ。

「『魔女』の家らしくていいでしょう?」

近所でお化け屋敷と呼ばれている事だって知っている。

でも、私はあまり興味のない事にお金を掛けるのが好きじゃないのよ。

必要最低限の手入れはしているんだし。

「この家を維持するために処分するよう言われた物も手放していないそうですね」

当り前でしょう?

「お父様が持っていた国内の不動産はそんなに数が無かったもの」

この家以外には別荘が2つ程だけよ。

あまり使わないから、放ってあるけど、父がくれたものを手離す気にはなれない。

幸いにも、株の配当で固定資産税くらいは賄えているんですもの。

「しかし、僕の方も受け取って頂かないと困るんですが」

そんな事、こちらの知った事ではないわ。

「ご用件がそれだけならお引き取りを」

さっさと帰りなさいよ。

「門前払いとは酷いですね。お茶ぐらい振舞って下さいませんか?」

玄関先で追い返そうと思ったのに図々しいわ。

出涸らしのティーバックを出してやる。

お茶を出せと言った癖に、お茶を持って行くと、言った本人が居ない。

勝手に人の家を歩き回らないで欲しいわ。

どこに行ったのか、家の中を探し回っても見つからない。

すると、温室に人影を見つけた。

アイツ!何を勝手に!

「ここで何をしているの?」

振り返ったヤツの姿に、一瞬、一瞬だけ父の姿が重なる。

馬鹿な。

「ここだけは完璧に管理されてますね。お気に入りですか?」

背が高いから錯覚しただけよ、そうよ。

「・・・早く出て頂けます?」

ここは私と父の大切な場所よ、ヤツに踏み込んでなんて欲しくない。

それなのに、ヤツは私が嫌がっているのを察したのか、温室から出ようとはしない。

「見事に薔薇ばかりですね。まだ時期が早いから蕾が多いが、これなんかはもう咲きそうだ」

ヤツが花に触れようとするのを見て、私は思わず叫んだ。

「やめて!触らないで!」

なのにヤツは私の制止を聞かずに、花に触れただけでなく手折ってしまった。

何て事を!

「花は観賞されてこそ生きる価値があると思いませんか?」

手折った固い蕾の薔薇の花をヤツは私の顔に向けてからゆっくりと下へと下ろしていく。

厭らしい手つきで。

「自分で脱ぐのと服を引き裂かれるのとではどちらがいいですか?」

こんなヤツを家に入れるのではなかったわ。

私も危機管理が甘いのかしら?

「ここで?」

温室の床は地面で当然ベッドなどない。

あるのは椅子とテーブルだけ。

「悪い冗談だわ」

私はヤツに背を向けて出て行こうとしたが、ヒョイと身体を持ち上げられてしまった。

「放して!」

ジタバタと暴れてみたけれど効果は全然無い。

でも、ここでなんて・・・絶対に嫌!

小さなテーブルの上に身体を仰向けに置かれた。

当然、頭と脚はテーブルからはみ出している状態で。

ヤツは私の必死の抵抗を諸共せずに、両脚を高く持ち上げて下着を脱がした。

どんなに力を入れて抵抗しても、両脚を抑え付けられていてはどうにも出来ない。

いつまでも拘っている私は愚かなのかしら?

もう、3年も経つのだから。

脚の間をヌルリとしたヤツの舌が這う。

すっかり抵抗する気を無くした私の身体がビクリと反応する。

いきなりオーラルとは、変態ね、コイツ。

「あ・・・ん・・・」

舌の感触が気持ちいいのは事実。

もう私は唇を噛んで声を抑える事なんてしなかった。

テーブルから落ちている頭を逸らせて温室の薔薇を見つめる。

確かにもう咲きそうな花がチラホラと蕾を膨らませている。

「余所見をしないで下さい」

首の後ろを掴まれて、キスをされる。

そしてそのまま入り込んでくる。

もう痛みは無い。

「ん、ん、んんっ・・・」

テーブルをガタガタと揺らして突き上げられる。

激しい動きにキスはいつの間にか外れ、呼吸が速くなる。

腰に広がって来る熱が背筋をじわじわと昇って行く。

やだ、これが快感なの?

相手が誰でも感じるって、女の身体って悲しいものだわね。

「あっ・・・ああっん・・・」

イクってこれか。

「っく・・・」

ヤツも腰を奥まで付いて動きを止めた。

抜け出る感触の後に零れ落ちる液体の感触がある。

コイツったらまた・・・ナマで中出ししやがったわね。

それでも私は動けずにテーブルの上で呆然としているしかなかったが、ヤツは自分の身なりを整えると(と言っても出していたモノを仕舞っただけだけど)私を抱き上げた。

「部屋はどこですか?」

あら、連れて行ってくれるつもりなの?

マナーは最低な癖に紳士っぽい事をするじゃないの。

「2階の奥」

背中と腰が痛いから、運んで貰えるのは助かるわ。

「家の中は意外と綺麗にしているんですね」

余計な事を喋らなければもっと良いのに。

私は小柄だけど、それでも一応成人女性を軽々と抱き上げて運ぶとは、力があるのね。

肩も広いし背も高いから、視界がいつもと違う。

初めて父に抱き上げられた時の事を思い出す。

お父様と似ても似つかないコイツで思い出すなんて、どうかしているわ、私。

「天蓋付きのベッドとは恐れ入りましたね」

放って置いてよ。

「それに壁紙がピンクとはこれまた・・・少女趣味ですか?」

個人の趣味に口を出さないで。

「いい趣味だと思わなくて?」

ニッコリ笑って言い返せば、ヤツも笑い返してくる。

「そうですね」

その天蓋付きのベッドに私を下ろすと、ヤツは私のブラウスを両手で掴んで引き裂いた。

「何するの!」

「さっき、伺いましたよね。自分で脱ぐか服を引き裂かれるのか選べって」

それは温室での事じゃないの?

「まだ続けるの?」

ヤツは私に圧し掛かって、笑って答えた。

「もちろん」

ヤツが引き裂いたのは幸いにもブラウスだけだった。

勿論、他のものは物理的に不可能に近いからだろうけれど。

今度はお互いに裸になってから、ベッドの上でベタベタと全身を触ったり舐め回したり吸いついたりしてくる。

さっきの方が、時間が短い分マシだった気がする。

だって、息が上がって苦しいんですもの。

「っは・・・もう・・・終わらせてよ」

ヤツは私の太股を舐め回しながらニヤリと笑った。

「上手におねだり出来たら入れてあげますよ」

ふざけんじゃないわよ!

そっちだってその気になってる癖に。

何よ、その股間のモノの大きさは!

こっちからなんて絶対に言ってやるもんか!

「っ・・・くっ」

ヤツは私の上から後ろへと移動して、胸や股間を指で弄り回しながら囁いた。

「静香・・・言って」

鳥肌が立つような低い声。

後ろから腰に当たる硬いモノ。

「・・・入れて」

ああ、私の馬鹿。

欲望に負ける事ってあるのね。

「なにを?」

コ、コイツ・・・

「これよ!」

私は後ろ手でヤツのブツを握りしめた。

腹立ちのあまり、力一杯握ってやったので、ヤツは悲鳴を上げていた。

ザマアミロ。

嘲笑ってやると、ヤツは不敵に笑い返した。

「やってくれますね」

それがどうかして?

「きゃ」

ヤツは私をうつ伏せにして腰を高く上げさせると、お尻を広げた。

「な、なにを・・・」

後ろを向いて確かめようとすると、濡れた舌の感触がお尻の穴に・・・まさか。

「ここの処女も頂きましょうか?」

ちょ、ちょっと!

起き上がろうとしたけれど、背中を抑え付けられて起き上がれない。

そうしている内に、ヤツの舌は微妙な刺激を与えてくる。

や、やだ。

そして指が充てられて・・・ったい!

「後ろと前と、どちらに入れて欲しいですか?」

そんなの、決まっているでしょ!

「・・・前」

「前に?」

聞き返さないで!

「・・・入れて」

「何を?」

コイツ・・・どうしても言わせたいのね。

「あなたのガチガチに硬くてダラダラと先走りを垂らしているモノ!」

ヤツに背中を向けたまま、叫ぶように答えてやったら、呆れた様な声が帰って来る。

「・・・色気が無い言い方ですね」

フン、言わせておいて文句を言うもんじゃないわ。

「っく」

ちょっと!

「・・・指・・・抜いて」

お尻の穴にヤツの指が入ったまま入れて来るなんて。

「・・・っ、いいでしょう?ホラ、両方動かすと・・・」

やっ、やだぁ・・・

指とヤツのが擦られて・・・ヘンな感じがする。

「あっ、やっ、ああっ・・・んんっ」

やだ、もう・・・イッちゃう。

身体を揺さぶられて、頭が真っ白になりそう。

もう、だめ・・・





意識がゆっくりと浮上する。

いつもの目覚めとは少し違う様な・・・ああ、そうだっけ。

私、気を失っちゃったのか。

ん?この感触は布団じゃない?

私はゆっくりと目を開けた。

目の前の人の顔にびっくりする。

なんでいるの?

しかも寝てるし。

図々しいわ。

ここは私のベッドなのに。

でも・・・眠っていれば憎まれ口は効かないし、可愛いかも・・・ってダメでしょ、私。

さっきされた事を忘れたの?

コイツったら私のアソコまで・・・やっぱり変態だわ。

それに感じてしまった私も・・・情けないけれど。

う・・・腰が重い。

でも、人肌の温もりの中で眠るのって・・・初めて?

こんなに他人の呼吸が近いのも・・・初めて?

いえ、昔、お母さんと一緒にいた頃はこれくらい近かった様な気もする。

久し振りで安心するかも・・・どんなヤツにも体温はあるから。

私はまた静かに眠りに就いた。





そして、待っていたのは・・・またしても悪夢。

どうしてヤツが家にまた居るの?

運ばれてくるこの荷物は何?

そして庭で働いている人は?

家に組まれている足場は?

誰か納得できる説明をして!

ヤツが出して来た、怪しげな賃貸契約書などではなく、私が納得出来る理由を!

「ですから申し上げた筈ですよ。僕は諦めが悪いと」

そんな理由で納得出来るものですか!

「それでは法律の専門家でもあるあなたのお兄様にでもご相談されますか?」

私はその言葉の返答に困った。

確かにカズ兄に相談するなり弁護士の西塔さんに相談すれば、コイツのでっち上げたいい加減な書類を不問に出来る筈だけど。

コイツがそこまでする理由を問われたら、コイツとの今までの事を話さなくてはならなくなってしまう。

例え私が黙っていても、コイツは嬉々としてベラベラ話してしまいそうだし。

そんな事、絶対に出来るものですか。

私はヤツの差し出した賃貸契約書を読み返した。

コイツが私の家に住みつく期間は1年間となっている。

つまりは研修医の期間だけと言う事。

1年間。

それだけ我慢すれば・・・

その間、コイツは膨大な家賃を払うと言っているし。

資金源はあの養育費なのだろうけれど。

「いいわ」

私は承諾する事にした。

1年間、我慢すればいいだけの事ですもの。

それに、私は夜勤や当直があったりして家に居る時間はそんなに多い訳ではないのだし。

コイツだってそれは同じ事。

それに正直、庭の手入れや外壁を塗り直す費用を負担してくれるのは助かるし。

コイツに散在させてやる・・・っと言っても、元々はお父様のお金なのよね。

何かおかしくない?





間もなくヤツの小児科での研修が終わると言う頃になって、私とヤツの当直が一緒になった。

これには同僚や医局の面々の作為的な意図が窺えるわ。

だってあのニヤニヤとした意味深な笑い顔。

何を期待しているの?

仕事中に何があると言うの?

みんなスケベで馬鹿なのね。

そしてここにも、その馬鹿が1人。

「・・・重いわ」

そのデカイ図体を小さい私の背中に圧し掛からせないでよ。

ワザとらしくお尻に腰を擦りつけたりしないで。

今は当直中よ。

待機中なの。

判ってるの?

「コレを何とかして下さい」

バカヤロー!

「トイレで処理してきたら?」

一人で済ませなさいよ。

「折角ここに使える孔があるのに?」

コイツ・・・私は性欲処理マシンじゃないわ!

怒りのあまり、振り上げた手が難なく捕まえられてしまう。

「乱暴ですね」

アンタが私を乱暴者にさせるのよ。

私は普段は温厚な人間なのよ。

「あなただって欲しいでしょう?」

ヤツは耳の後ろを舐めながら、指を私の下着の中へと潜り込ませる。

「ホラ」

ヌルヌルと滑るヤツの指の動きに私の顔は赤くなる。

どこまで恥ずかしい人間に成り果てたのかしら、私は。

「・・・早く済ませて」

流石にヤツもこの状況で私を甚振るのに時間を掛けるつもりはないらしい。

私の下半身に纏っていたモノを床に落として白衣を捲くり上げ、机に手を着いた私の腰を引き寄せる。

そして大した愛撫もなしに簡単に受け入れてしまう私。

「ん・・・んん、っくっ・・・」

声を押さえていると、ヤツは私にガーゼを銜えさせた。

「こういったのもいいですが、やっぱり家で遠慮なくした方が良いですね」

ここまでしておいて、それを言うの?

大体、アンタは私の家に引っ越して来てから何も・・・って期待していた訳ではないけれど。

そう、私もコイツも忙しくて時間が合わなかったし、それは当然な事だけど。

だから?

だから、コイツはここで誘って来たの?

だから、私は簡単に誘いに乗ってしまったの?

これでは、すっかりヤツの思う壺じゃないの?

私は生身で突き上げるヤツにイカされながら考える。

このままではダメになると。

それでも、身体が覚え始めた快感から逃れるのは困難だとも。







 






























 

Postscript


何故、この話のタイトルだけが先に決まっていたのか?
それは温室でヤルのを思い描いたから(サイテー)
ノリノリで書いていたら、アナルセックスになりそうになって私自信が焦りました(そー言えば今までやった事が無いな)

冒頭の杜也は前作までとは別人?と言うほど違いますが、実は彼のキャラが今まで出来あがっていなかったので(アホ)
静香は家事が出来ないし、大きな家の維持は大変です(手入れだけでなく税金とか色々と)
親父の遺言を守って別荘を手放せばよかったのに、惜しむから杜也に付け入る隙を与えてしまいました(苦笑)
彼のしている事は私文書偽造で立派な犯罪ですが、ホントに手段を選ばないのは母親とそっくり。
それにしても静香さん、避妊薬があるからって、流され過ぎてます?
いや〜彼女の抵抗が薄いのにも理由があると思いたいが・・・無理がありますかね?

このシリーズの話を思い描いた時に浮かんだのが当直のアレ(大笑)
やっぱり医者なら深夜の病院で白衣でやって貰わないと(大バカ)
医者と看護師よりも、医者と患者よりも、医者同士が一番萌えます(私としては)
ちなみに看護師をしていた友人に以前聞いたところ、患者と看護師で出来上がるパターンが多いとか(数と需要の問題かな?)
医者と出来ちまう看護師は少ないそうです(やっぱ身分差か)

杜也視点の話を並行して書いていたので遅くなりました。
併せて読んで頂ければ、より一層楽しんで頂けるかと(宣伝)
時間軸を遡っていますので、お気をつけてお楽しみ下さい。



2009.8.26up



 

 

 

 

 

 

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